彼女は右と左がわからない。 後ろを向いたら逆なるような不確定なものはいらない、というのが彼女の言い分だ。 彼女は地図も東西南北で確認する。 僕の助手席の乗っていても、地図をくるくると回転させて、目的の方角に進んでいればいい、そういう感じだ。 …
僕は駅に居た。 バスの時間を待つために。 40分。 駅の前の花の植木鉢に、若い男が勢いよく吐瀉していた。 口から滝のように吐くというより、引力に負けて落ちるみたいに。 嫌な気持ちがこみ上げてくるが、仕方ない。今日は金曜日だ。 僕は手にしていた本を…
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